こんにちは、ファイナンシャルプランナーの刈屋です。

お客様とお話ししていると、株の銘柄について相談を受けます。
「良い銘柄を選んだはずなのに、株価が上がらずに半年経ってしまった」ということがあります。

銘柄を教えてもらうと、確かにファンダメンタルズは良く、収益もある良い銘柄でした。
ただ株価が上がらない…。それは何故でしょうか?
「銘柄選びの際にセクターの観点がなく、投資家に注目されていなかったこと」が原因でした。

この記事では、下記の内容をご説明します。

  • セクターとは何か?
  • なぜセクター分析が大事なのか?
  • セクターをどのようにして見極めるのか?
  • どんなセクターを選ぶのが有効なのか? 

株式投資の基本とセクターの重要性

株式投資の基礎知識

株式投資の原則ですが、株価は買われると上がり、売られると下がります。
当然、優良銘柄であれば買われやすく、そうでなければ売られやすいです。
これについては皆さんよく理解しておられます。

もう1つ重要なことがあります。それは、「新たに買われる見込みがあるか?」という視点です。
優良銘柄でも、以前からその状況なら既に株価に反映されています。

新たに買われるにはさまざまな要因があります。

  • 決算や業績が(期待よりも)良かった
  • 財務体質が良くなった
  • ニュースやネットで話題になった
  • 注目されている会社や業種、業界である

今回お話するセクター分析は、「注目されている会社や業種、業界である」に関連します。

セクターとは?株式投資における重要な分類

セクターとは、似た業種をグループ化した分類で、投資先を分析する際に役立ちます。
例えば、金融、機械、食品などのセクターがあります。

各セクターは、景気や金利から異なる影響を受けます。
逆に言えば、今の景気や金利を考慮して「伸びやすいセクター」に投資すると効率よく資産を増やすことができます。

なぜセクター別の銘柄選びが有効なのか?

投資家はできるだけ短い期間で多くの利益を上げたいと考えています。
そのため、できるだけ早く値上がりする材料がある銘柄を選定します。

セクターは銘柄を絞り込むための手段のひとつですので、
今後値上がりする見込みがあるのか、投資家がまず調べる項目の1つになります。

注目を集めていたり、資金が集まりやすいセクターに投資したいと考えている投資家が多いです。

セクターを景気と金利で4つに分類

株式投資をするうえでセクターが大事であることをお伝えしました。

しかし、セクターは非常に多岐に渡るため、各セクターを詳細に分析することは難しいです。
まずは、景気と金利の高低によって有利になりやすいセクターを知っておくと良いです。
ここでは、景気と金利の高低、すなわち2×2の4つに各セクターを分類しました。
これを景気循環サイクルと呼びます。

  • 好況期セクター(例:建築、機械、鉄鋼など)
  • 後退期セクター(例:石油、鉱業など)
  • 不況期セクター(例:医薬品、食品、インフラなど)
  • 回復期セクター(例:銀行、金融、不動産など)

セクターごとの特徴と投資戦略

好況期セクター(例:建築、機械、鉄鋼など)

好況期セクター(例:建築、機械、鉄鋼など)は、経済が活発に成長しているときに力を発揮する分野です。
企業や消費者が積極的に設備投資や消費を行うため、これらの業種は需要が増え、利益が拡大します。

景気のピーク時には、建設プロジェクトが増え、機械や鉄鋼の需要が高まります。
景気の影響を受けやすいセクターですので、購入や売却のタイミングに注意しましょう。

後退期セクター(例:石油、鉱業など)

後退期セクター(例:石油、鉱業など)は、景気の後退期に需要が安定しやすい傾向があります。
原材料やエネルギーは経済全体で必需品として扱われるため、景気が低迷していても一定の需要があります。

後退期には、資源関連のセクターが安定した収益を上げることが多く、リスクを抑えた投資が可能です。

不況期セクター(例:医薬品、食品、インフラなど)

不況期セクター(例:医薬品、食品、インフラなど)は、景気に関係なく需要が一定している分野です。
特に医薬品や食品は、どんな状況でも消費されるため、株価も比較的安定します。

景気が悪化しているときには、不況期セクターに投資することでポートフォリオ全体のリスクを下げることができ、安定したリターンを期待できます。

回復期セクター(例:銀行、金融、不動産など)

回復期セクター(例:銀行、金融、不動産など)は、景気が回復するタイミングで利益を大きく伸ばす傾向があります。金利が上昇する局面では金融機関の収益が増加し、不動産市場も活況を呈します。

回復期には、これらのセクターが急成長する可能性があるため、早めにポジションを取ることが重要です。

日本とアメリカのセクターについて

日本のセクター状況

現在の日本経済は、「不況期セクター」と「回復期セクター」の間にいます。
特に、医薬品や食品などの必需品を扱う企業が景気に左右されにくく、安定した成長を見せています。

一方で、直近では金利が上昇する様子も見られます。
回復期に向けて銀行や不動産などの金融セクターがゆっくりと回復の兆しを見せており、金利動向に注目が集まっています。

アメリカのセクター状況

アメリカでは、テクノロジーやヘルスケアといった「好況期セクター」が引き続き強い成長を見せています。
特に、デジタル技術やバイオテクノロジーの発展に伴い、これらの業界は景気拡大局面でリーダーシップを発揮しています。

ただし、直近では高かった金利の緩和が始まっています。
「好況期セクター」から「後退期セクター」にシフトしつつあるでしょう。

セクター分析まとめ

投資を始めるとき、セクターを意識することは非常に重要です。
景気が良いときは成長するセクター、不況のときは安定したセクターに投資することで、
リスクを抑えながらも利益を出すことができます。セクターごとに異なる動きを理解し、それに合わせた投資戦略を取ることが成功への第一歩です。

初心者の方は、いくつかの注目セクターに絞って分散投資を始めるのが良いでしょう。
リスクを分散しつつ、成長のチャンスをしっかりと捉えることができます。

セクターの動きは、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析よりも大きな資金の動きを生みます。
投資先のセクターをしっかり見極めることで、効率よく資産を増やすことができます。